03.23

旅館で朝食。高野豆腐、車麩を煮たの、焼き魚、菜の花を茶粥と奈良漬けで頂く。計2500円の朝食は当然のように美味しい。食後に珈琲を飲みながら、何とはなしに窓の外に目をやると、日本庭園に設えられた小さな赤い鳥居に風花が舞っている。「やっぱり人間たまには贅沢しないと駄目だね。」と思いつつも、大した稼ぎもないうちからこんなことしていて良いのかよ?という気持ちにもなる。
旅館を出て東大寺へ。裏手の道から二月堂まで上がる途中、鹿がカラスに突つかれている所を目撃した。巣作りの為か、カラスは鹿の毛をブチブチッと力いっぱい遠慮無く抜いていたが、鹿はそんなカラスを追い払うこともせず「俺、もう何もかもどうでもいいし」といった感じで、あらぬ方向を見つめたりしていた。二月堂では丁度なにかの儀式が執り行われていて、雅楽の演奏に合わせてお坊様がお経をあげる声が響いていた。そんな厳粛な空気が漂うお堂に、突然キャバクラのバニー嬢の如き鹿の角付きカチューシャを頭に付けた外国人の一団がなだれ込んできて、坊主を背景に写真を撮ったり、興奮気味に線香の煙を吸い込んだりしていた。自分はスペインやドイツでこのような失態を侵さなかっただろうか?